時空少女
「燿十さんは……分かりません。なんたって五大天王の1人ですから。」
間が少し気になった沙柚だが言いたくないのならいいか。と自己完結した。
「そうなんですか…、あの……なぜ燿十は妖の住む塔を作ったんですか?」
「燿十さんは、人と妖の共存を望んでいます。普通、妖は外で生活します。けど、その分人と関わる機会が多いですよね?
問題が起こらないはずがないんです。
ましてや"人と妖"、お互いが理解し合うのは難しいことです。
小さなことで殺し合い、なんてざらですからね。
燿十さんは、少しでも人が……妖が無駄に死んでしまわないように、この塔を作りました。」
沙柚は驚いた。燿十はちょっぴり俺様で、何も考えていてないかのようで、この塔も自分のために作らせたんだとばかり思っていた。
「ここに住んでる妖たちは、燿十さんを好いています。だから、襲われる心配は入りませんよ。」
「はぁ…。なんか燿十って凄いんですね。」
妖たちから好かれるなど、容易なことではなかったはず。
彼はそれを成し遂げたのだ。
「えぇ。燿十さんはここ南の森一体の救世主です。」
目の前の翔は、本当に嬉しそうに笑った。
それは作り笑顔なんかじゃなく、彼のほんとの笑顔だった。