時空少女
「次はですね〜…口だけでは分かりづらいですし、一緒に見て回りましょうか。夜ご飯には、まだ時間がありますし。」

最初よりも、穏やかに笑う彼に沙柚も笑い返した。

「はい!お願いします!」













部屋を出て、しばらく歩いていると翔が言った。

「お気づきかもしれませんが、ここは見た目より広いですよね。これも燿十さんのおかげなんですよ?
凄いですよね〜。」


沙柚は目を見開いた。
この不思議な塔は燿十によるものなのか!
なんだか燿十の能力は凄まじいものなのかな、と考えながら。

中はやっぱりお城のようで、使われている木は良いものなのか、とても綺麗だ。所々に朱雀をモチーフにした炎がついている。明かりだ。激しく燃えている訳ではないのに、明るい。
これなら、1人で歩いても怖くなさそうだ。


「あの〜、ここは何階くらいなんですか?」

沙柚はこの塔は見た目とのギャップがあるため、自分では分からなかった。
それに高いなら景色をみてみたい。時間の感覚もないので外を見ればわかるだろう。


「あ〜、5階ですが、高さはけっこう上ですよ。外見てみましょうか。」

「ありがとうございます。」

沙柚は、バレてたか。と思いつつ苦笑いした。


長い廊下を歩いていると、行き止まりでそこには壁ではなく、一枚の障子があった。

なんで障子………!?

沙柚の思っていることが顔にでていたのか翔が軽く笑いながらいった。


「ここを開けると縁側にでれますよ。障子つけないと廊下寒いですから。」

「へぇ〜…」

妖に寒いとかあるんだ。
なんて言わないでおこう。



翔が障子を開けた。


「うっわぁ〜!」


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