時空少女
「おい、どうし…た…………………………。」
燿十は、今の今まで盛り上がってた妖たちが、ピタッと止まったことに疑問をもち後ろを振り向いた…………のがいけなかった。
「ずいぶんと楽しそうですねえ、燿十さん。まだ早い時間なのに。」
ニコニコと笑う魔王がそこにいた。
「まお…っ翔、どっどうしたんだよ。」
まおう、と言いかけた瞬間、一瞬だけ翔の目がキッと燿十をにらんだ。
「燿十さんがぁ
説明しろとか言うからぁ
案内してたんですよぉ?
なんで、命令した本人は楽しそうに騒いでるんでしょうかねぇ?」
フフっ。
そう言って笑う翔に、燿十は冷や汗ダラダラだ。
そんなとき、入り口付近がざわざわ騒がしくなってきた。
「なっ、なにかあったのかもしんねぇなっ!!!俺がみ、見に行ってやるよっ!!!」
燿十は、ピューっと足早にそちらへ向かった。
「あ。逃げた。」
翔は燿十を後で叱ることにして、入り口に沙柚を待たせていたのを思い出した。
まぁ、燿十さんが行ったんだから大丈夫だろう。
翔はゆっくり歩き出した。