時空少女
近付く距離
「ん〜…っ!」
障子の隙間からもれた朝日で目が覚めた沙柚は、飛び起きた。そして昨日を思い出す。
「あのまま、寝ちゃったのか。」
目、腫れてないかな?と思いつつ鏡を見てみたら、少し腫れていたが、これぐらいならバレないだろうと思った。
沙柚は部屋を出ようとしたのだが、まだ朝早いため残ることにした。
障子を開けて、風を感じる。眩しい朝の光を浴びる。
チュンチュン、と鳥たちがないている。
なんだか暗い気持ちも、忘れられる気がした。
どれくらいそうしていたのだろうか、廊下側から足音が聞こえてくる。だんだんとこちらに近付いているように聞こえた。
「おい!沙柚っ…起きてたのか。」
スパーンッ!と勢いよくふすまを開けたのは燿十だった。
沙柚が起きていることに、驚いたようだったが。
「これに着替えろ、沙柚。」
ポイッと渡されたのは、赤色でちいさな華が一面に描かれている着物だった。
どうしたものか。
と燿十を見てみると彼がいった。
「お前が着ている服は目立ちやすい。こっちのほうが馴染めるからな。」
なるほど。
たしかに自分は、カッターシャツにベストにスカート。といった高校の制服の定番を着ている。ここでは浮いてしまう。
沙柚はそう理解した。
「着替え終わるまで俺は廊下出てるから。早めにしろよ。」
気を利かして出てくれたのは有り難いが、1つ問題があった。