時空少女
「さ。朝飯食いに行くぞ。」
「うんっ。」
部屋を出て廊下を歩く。沙柚はあることに気付いた。
燿十が沙柚の隣を歩いていた。彼は彼女の歩幅に合わせてくれているだのだ。
沙柚は、なんだか嬉しいくて、くすぐったい感じがして笑った。
「ふっ、何1人でニヤついてんだ。」
「にっニヤついてなんかないっ!笑ったの!」
「はいはい。ソウデスカ〜。」
「ちょっと!」
手をひらひらさせて先に足早に歩く彼を追いかけた。
てっきり沙柚は食堂に行くのだと思っていたがそうではないらしい。
ふすまに朱雀が描かれ、ほかの部屋より豪華なところだ。
「ねぇ、誰の部屋?」
「俺のだ。まあ、あまり使わねーけどな。」
さすが塔主、というべきか綺麗な部屋だ。あまり使ってないのにもかかわらず、埃っぽくないのはきっと、翔が手入れしているからだろう。
「ここに飯を持って来させる。」
「え、一緒に食べるの?」
「…………嫌か?」
「嫌じゃないけど……ただ、びっくりしただけ。」
沙柚はまさか、一緒に食べるなんて思ってもいなかったのでつい言ってしまった。
「そうか、ここの飯はうめーから。楽しみにしとけよ?」
ニヤリと彼のお得意の笑顔を浮かべた。
そんな顔でも、やはりドキッとしてしまうのは彼が美形だからなんだろうな。と沙柚は思っていた。
「燿十さんお持ちしましたよ〜。」