時空少女
どうやら翔が持ってきてくれたらしい。
お膳を1つ持っている。
……………1つ?あれ、私のは?
なんて聞くに聞けない沙柚は、どう反応していいものかわからなかった。
「クッ、ちゃんとお前の分持ってくるから安心しろ。」
ククッ。と笑う燿十に沙柚は顔が赤くなるのを感じた。
何を言おうか考えているとき、ひょこっと影が現れた。
「飯持ってきてやったぞ!」
提灯小僧だ。何かと手伝ってくれる彼は、沙柚にとってお気に入りの子である。
「お。提灯小僧か。翔の手伝いやるなんて珍しいな。」
「うっ!えっ焔天様は何も言わないでくれっ!」
普段から顔が赤い彼は、恥ずかしいとさらに赤くなる。
「あは、あははっ!ちょーくん、ありがとねっ」
「ちょーくん!?なんだそりゃ。」
「提灯小僧って名前長いから呼びやすいようにね!いいでしょ?」
「すっ好きにしやがれっ!オイラの仕事は終わったから帰る!さ、沙柚っまたなっ!」
彼は足早に帰っていった。
嬉しい言葉を残して。
「いま、ちょーくん、沙柚って沙柚って言った!」
喜ぶ沙柚を見て、燿十と翔の2人も無意識に微笑んでいた。
「さっ、ご飯をどーぞ。私は仕事がありますので。」
そう言って翔は戻っていった。