時空少女
あれから、特にすることもなく過ごした。やはり翔が夜が"本当の姿"といっていたように、昼間の塔の中はけっこう静かだった。
そして、沙柚は今お風呂に入っていた。女妖たちと一緒に。
ちゃぽん―
「あなたが沙柚ちゃん?」
「あら、人の子じゃない。」
沙柚の目の前に、綺麗な長い黒髪で白い肌をした女の妖と、肩くらいの長さの黒髪の白い肌の女の妖がいた。
沙柚はあまりの綺麗さに驚いていた。魅入ってしまうほどだ。
「くすくす、妖なんかに魅入っちゃだめよ?」
「お藤の色気に当てられちゃったんじゃない?」
くすくすと2人は笑った。
沙柚はそこで、はっ!と気付いた。
「あっ、なんかすみません―………。」
「謝ることなんてないのよ?ねぇ、椿?」
「そうよそうよ。あ、沙柚ちゃん。私の名は椿(つばき)。」
「私はお藤よ。」
「「宜しくね。」」
にこりと綺麗に微笑む2人にまた魅入ってしまったのは言うまでもない。
「椿さんとお藤さんは、何故私の名を知ってるんですか?」
この2人は最初から沙柚ちゃんと言っていた。名乗ったつもりもないのに、と沙柚は不思議に思った。
「ふふっ、何故ってねぇ〜。」
「そうね〜。燿十さんからねぇ聞いてたのよ。」
燿十…?
なぜ、燿十なんだ?と沙柚は思った。
「ねぇ沙柚ちゃん。あなたって燿十さんの恋人なの?」