時空少女
「…………私たち、妖はね、人から嫌われる存在なの。」
えっ!と沙柚は顔を上げた。
「そんなことないっ!嫌う必要なんかないよ!」
「そう言ってくれるのは、ほんの一握りの人だけよ。」
苦笑いしながらお藤が言った。
「その中でも沙柚ちゃんは特別ね。普通妖たちと一緒にお風呂なんて入いんないわよ?」
沙柚はなんて言えばいいのかわからなかった。
自分はそんなこと普通だ。と思えたから、思えるようになったから。だって、妖たちも姿や形が違うだけで生きてるじゃない。人と同じように生きてるじゃない。笑ってるじゃない。
「私、普通ですよ…?」
そんなことしか言えなかった。もっと話したいのに頭がぽーっとして思いつかない。目が回る。
「「……………ありがとう、沙柚ちゃん」」
椿とお藤、2人の泣きそうな笑顔を見ながら、沙柚は意識を失った。
「「何時までもそのままでいてね。」」
とても綺麗な笑顔で2人が私に微笑みかけたのは、知らない。