時空少女
聞いてもいいのかな。
沙柚はそう考え、ゆっくりと話し出した。
「あのね、ここは、人と妖って、やっぱり…嫌い嫌われ合ってるの?」
燿十は、やはり考えていたか。と思いつつ答えた。
「一部の人は妖を好いてるわけじゃねーが、一緒に暮らしていくことには、賛成してる。だがな、全てが全てそうじゃねーんだ。」
「……やはり、人にとって妖は嫌うべき存在なんだよ。
逆もまた然り、だ。
何をしても、それは変わらねーんだよ。」
「なんで、っ」
「"人と妖"がみんな仲良く、なんて…実際無理なのかもしれねーな。」
「――っ!」
それ、は"燿十の夢"であり"目標"であるはず。それを、自嘲するかのような口振りで、その燃えるような赤い瞳を、悲しみや悔しさの色に染めて、彼は言った。
「なんっ…なんで…なんでそんなこと言うの?
それは燿十の夢なんでしょ!?
目標なんでしょ!?
それなのに、そんな顔して無理だなんて言わないでよ!
燿十を信じてついてきた妖や人の気持ちはどうなるの!?
燿十が叶えるんでしょ!?
実現してみせるんでしょ!?」
沙柚は、怒りや悲しさ、たくさんの思いが溢れてきて止められなかった。
「――お前にいったい何がわかる?」
赤い冷たい瞳をした燿十がこちらを睨んでいた。