時空少女
「おっちゃん!僕忙しいのに何のよう?」
ぷんすか、まさにその言葉がぴったりな男の子。提灯小僧は見た目12歳かそれより下だが、彼は7才くらいにみえる。
沙柚は子供に縁があるのだろうか、と一人考えていると、いつの間にか話は済んだのか"おっちゃん"と呼ばれた妖が戻っていく。
「嬢ちゃん頑張るだよ〜!」
笑顔で応援しながら。
「初めまして、沙柚さん。僕は泥田坊です。」
沙柚がふふ、と笑っていると男の子が行儀よく、ぺこっと頭をさげ自己紹介した。
沙柚も慌てて挨拶した。
「は、初めまして。えっと!敬語じゃなくていいし、さん付けなんてしなくていいよ?なんか他人行儀みたいだし、」
え、えへへと若干気持ち悪い笑みを浮かべながら沙柚は言った。男の子は目を丸くして、ニコッと笑った。
「ありがとう。聞いてたとうり優しいんだね。」
今度は沙柚が目を丸くした。
「えっ、誰が?……ってか何を言ってたの!?」
目の前の男の子はニコニコするだけだった。
仕方ない、と沙柚は諦めた。
「さぁ!掃除するよ!僕が説明するからしっかり聞いてね!」
「は、はい!よろしく!」
7才くらいの男の子に16才の女の子がぺこぺこ頭を下げている、といった周りから見たら何とも言えない2人だった。
「いい?わかった?」
大浴場の風呂釜はハンパなく大きかった。それに驚いたが、なによりもたーくん(※泥田坊は長いのでこうなった)が、掃除を仕切っているところにとても衝撃的だった。
なんでもたーくんは掃除が大好きらしく、彼がこの、風呂の掃除の取締役に買って出たそうだ。
沙柚は、小さいのにすごい!と感激したのは言うまでもないが。
「わかったよ!」
そう言って沙柚は掃除を始めた。ごしごしごし、と磨いていく。汚れがしっかりとついていて落ちにくい。だが、やりがいがある!と沙柚は1人意気込んでいた。