時空少女
「――と?―きと?あきと!」
はっ、としたように燿十は沙柚を見た。
「聞いてた?」
「わりぃ、」
「もぉ〜!ぼーっとしすぎ!」
「わりぃ…」
燿十はぽんぽん、と沙柚の頭を撫でた。沙柚は一瞬目を丸くしたあと、仕方ないなぁ。と笑った。
燿十は、隣でコロコロと表情を変える沙柚を見て、思う。
――――本当の正体を言ったらコイツは、俺から離れていくのか…軽蔑するのか………
しかしその考えも、先に見えている赤い鳥居の前に人が立っているのに気付いた瞬間、消し去った。
「お久しぶりです。焔天様。」
鳥居の下、沙柚の目の前で、肩くらいの長さの黒髪の女性――というよりか、沙柚と同い年くらいの女の子がお辞儀をしていた。
「あぁ。元気にしてたか?」
「はい。焔天様もお変わりなさそうで何よりです。」
沙柚は、ぽかーん、とその光景をみていた。燿十が女の子と話しているのを初めて見て、驚いたのと何より女の子の周りに淡くピンクのオーラが見えるのは、気のせいではない。
いつの日か、椿とお藤に"燿十はモテている"と聞いたが、まさか……ね。
沙柚は、入るにはいれなかった。
「つかぬことをお聞きしますが、お連れの方は…」
「……大丈夫だ。」
「そうですか。では、案内しますね。」
たんたんと進んでいく会話に、唖然としたまま動けないでいると、手を掴まれた。びっくりしながら沙柚は、手を掴んでいる人を見た。