時空少女

「は、じゃなくて、うん！」


ニッコリと沙柚も笑った。澄乃は、うんうんと笑いながら頷いている。


「かわええ子やなぁ〜。沙柚ちゃんわ！」

「えぇ！？いやいや、」


似たようなやり取りを繰り返していると、燿十が口を挟んだ。


「お前ら……うぜぇな。」

「「えー！？ひどっ！」」


息ぴったりで２人がいった。
澄乃は沙柚をみて嬉しそうにニコニコ笑う。そんな彼を見て、沙柚もつい釣られて笑った。


「―――――澄乃。」

さっきまでだるそうにあきれていた燿十が一変、真剣な顔をしながら言った。すると、澄乃も何か感じたのか頷いた。


「沙柚ちゃん、ちょっとおにーサンたち話があんねん………席外してもらえへん？」


済まなそうに言ってきた彼に、沙柚は素直に頷いた。


ぽんぽん―――

「わりぃな、沙柚。」

「ううん。気にしないで。待ってるね。」

「あぁ。」


軽く頭を撫でで、誤る燿十に沙柚は笑顔で言った。燿十も薄く微笑んで返す。



そんな２人の様子を見て、澄乃は驚いた。燿十は、簡単に笑顔を他人に見せるような奴ではない。自分から相手に触れるなど、もってのほかだ。
それを沙柚に対しては、感じさせない。
沙柚の笑顔も自分には向けない種類だ。


「(なるほど、そういうことか。)」

澄乃はニヤつく顔を必死に隠した。