時空少女
「どこいけばいいんだろ……」
先ほど、部屋を出てきた沙柚はぶらぶらと廊下を歩いていた。勝手に入っていいのか、悪いのかわからないので、歩くしかない。
「「あ」」
どうしようか、と歩いていたらさっき案内してくれた女の子とばったりあった。
「………どうも」
「どっどうも。」
会話がそれ以上続かない。沙柚は目線を泳がせた。
とにかくこの沈黙をなくしたかったので、名前聞こうっ!
と半ばやけになりながら口を開いた。
「な、名前を教えてください!」
「………………は?」
突然すぎて、意味不明だった。沙柚はなおさら恥ずかしくなり、慌てていると女の子が笑い出した。
「ぷっ…ふふっ、」
「え?え?」
「あなた面白いね。」
褒められているのか……?
と疑問を抱きつつも、沙柚はへらっと笑った。
「私は、澄乃様の部下の菖蒲。」
「私は、え〜と……金田沙柚!」
「行くとこ分からないでしょ?ついて来て。」
「あ、ありがとっ」
トテテテ、と沙柚は菖蒲の後を追う。
目の前でさらさらと肩くらいの黒髪がゆれる。
冷たい子だと思っていたけど、違うんだな。と沙柚は感じた。