時空少女
「そっか、そっか……そっか!よかった!な?燿十!」
ニコニコと、澄乃が笑いながら言った。
「よかった?」
なにが?、と澄乃を見ると、彼はいう。
「だって、嫌や!なんて言われたら悲しいやん?それに、沙柚ちゃんは"翼天"やし!」
「、!あはは、嫌いなんて言わないですよ。」
――"翼天"だから、か
自分じゃなくて"翼天"だから、みんなよくしてくれるのだろうか。"翼天"じゃなかったら、誰にも………
沙柚は顔にでそうになるのを、必死で隠した。
「……………。」
燿十は沙柚の顔が一瞬強ばったのに気付いた。笑顔も少し引きつっているようにみえる。
「………おい、澄乃。茶まだか?あいつ、遅くねーか?」
「あぁ〜ほんまやな!菖蒲何してるんやろ?」
「ちょっと、見に行ってやれよ。」
「うぅ〜〜ん、でもなぁ…沙柚ちゃんと話したいし……。」
「はぁ、まだ帰んねーよ。」
「ん〜…んぢゃ、ちょいと手伝って来たるわ!」
「はいはい。いってこい。」
シッシッ、と澄乃をあしらってから、燿十は沙柚を見る。平気そうな顔だが、違う、と燿十は何故か確信していた。
「―――――沙柚」
「ん?どうしたの?」
にこ、と笑いながら沙柚は隣の燿十を見る。燿十はさらに眉を寄せた。
「―――"沙柚"が此処を嫌いっつったら、あいつらが悲しむ。提灯小僧や泥田坊、それに翔。うちの連中、みんな"沙柚"がいいんだ。」
「、っ!」
―――なんで、分かったの…?
何言ってるの?って笑いたいのに、燿十が優しい顔して言うから言えないじゃない………。
なんで、なんでそんなことを言ってくれるの?
沙柚の考えを読み取ったのか、燿十が沙柚の頭を撫でながら言った。