時空少女
燿十と澄乃の過去
「俺なぁ、はっきり言って妖とか人間とか分からんかった。区別なんかつくわけないし、それに人間も妖も一緒や思ってた。それは"翠天"となった今も思ってるんやけど、燿十は違ったんや。あいつは……――」
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――数年前
「ふぁぁあ〜、眠っ。」
昼頃なのだが旅をしているせいか、夜あまり寝れていない。澄乃は欠伸をしながら森を歩いていた。
「ん?」
ふと、先に大きな木の下で人がもたれ掛かっているのが見えた。澄乃はそちらに向かって歩いていった。
近づくにつれて、相手のことがよく見えるようになってきた。相手は同い年か少し年下の少年だった。なかなか見かけない金色の髪をした少年で寝ているのか近づいていることに気が付いていない。
「な、なんやねん、これ…」
近くで少年の体を見て澄乃は驚いた。体中、傷だらけで所々に血が付いていた。
彼を起こそうと手を伸ばした瞬間、パシッと強い力で掴まれた。
「なっ!起きてたんか!?」
「…………誰だ。」
鋭い目で少年は澄乃を睨む。澄乃は苦笑いしながら言った。
「手痛いんやけど、離してくれへん?」
「質問に答えろ。」
これじゃぁ、埒があかない。
と言う顔をして澄乃は言った。
「俺は、澄乃!ただの旅人や!これでええやろ?」
チッ、と舌打ちしながら少年は澄乃の手を離した。
「あんたは?誰なん?名前は?」
「…………燿十だ。」
「燿十っちゅーんか!かっこいー名前やん!」
「……さっさとどっかに行け。」
シッシッと手を払ってだるそうにしていた燿十に対し、澄乃は燿十の目の前に座った。
「水くさいやんか!怪我してるんやろ?手当てしたるって!」
澄乃が手当てしようと燿十に触れようとした瞬間、パシッと今度は払われた。
「消えろっつってんのが、わかんねぇのか。」
ギロリと今にも人を殺せそうな目をして燿十は澄乃を睨んだ。
澄乃は目を丸くした後、睨み返した。