時空少女
「っ、くそ…」
燿十は傷む体を引きづりながら歩いていた。燿十の家というか小屋の方へ急ぐように。歩く度に激痛が走り顔をしかめる。
足に力が入らなくなって座り込んだ。
「ふぅっ、」
ようやく止まった血を見て、溜め息をつき目を閉じた。
「おやおや、おんし混じり者かえ?」
急に聞こえた声に燿十は警戒した。周りを見渡して姿を確認しようとする。
「こっちだよ。」
「っ!?」
勢いよく向いた先には、とても大きな顔だけの妖がいた。
そのギョロリとした目は燿十を鋭く見つめ、大きな口は舌なめずりをしている。
「混じり者は喰ろうたことないがねぇ、上手そうだねぇ。」
「てめぇっ、!」
燿十は睨み返すが無意味だった。体はもう言うことを聞かない、抵抗する術がない。
「大丈夫、痛みなど感じぬよう一飲みにしてやるからねぇ。」
物凄い速さで燿十の側まで飛んでくる。大きな口をさらに開けて。
燿十は、もうだめだ。と目を閉じた。