時空少女
「そろそろ、お遊びは止めようかねぇ。」
「っ、はぁっはぁっ、お遊びって、なんやねんっ、」
「おんし人のわりには、よぅ耐えた。認めてあげようねぇ。」
「はっ、そりゃおーきに!」
「だから……<<喰ろうてやろう>>」
一旦距離をとったと思うと、妖は目を鋭くして言った。その声は、地を這いづるような低い声だった。
澄乃は、背中に嫌な汗が流れるのを感じた。ゴクリと生唾を飲み、短刀を持ち直し前を見据えた。
「――――もういいっ!やめろっ!」
燿十が急に叫んだ。
「逃げろ!お前がそこまでする必要なんてない!俺なら、別に死んだって平気だ!死んだほうがいいんだよっ!だから―――」
「黙れっ!お前はさっきからなんも分かってへんやんか!死んだっていい奴なんかおらへんのや!」
「オレは、死なへん。死にたないねん!こんな妖くらいやっつけたる!」
妖が勢いをつけて澄乃に突進してくる。澄乃も立ち向かっていった。口を大きくあけ飢えた獣のように目を光らせた妖と、短刀だけで立ち向かう澄乃、燿十には勝敗が見えていた。
「<<喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰うっ…………ぐわぜろぉぉおぉおぉおっ>>」
「っ!逃げろぉおっ、澄乃ぉお!」