(短編)フォンダンショコラ
でも、隼人はあたしの想像とは違う方法で、返してくれた。
「・・・そっか、大変だったんだな。」
頭に感じる、僅かな温かさ。それは、久しぶりに感じた隼人の手の温もりだった。
思わず、顔を上げる。
そこには、いつかと変わらない隼人の微笑みがあった。
「・・・あたしのこと、いい加減とか、思わないの?」
「馬鹿にすんなよ。お前のこと、これでもきちんと見てたんだから。」
隼人の力強い返事に、泣きそうになった。
ちゃんと、わかってくれてる。
少しだけ、4年間の距離が埋まったようで我慢出来ずに笑みをこぼした。
隼人はそれに答えるように笑って、手を放した。
「今は、仕事してるのか?」
「うん。飲食店で。」
「そっか。・・・どんどん先に進むな。」
寂しそうに笑う隼人に、あたしは少し首を傾げた。
「そんなことないよ。」
先に進んでる、なんて、そんな気はしない。むしろ、後退したようにも感じる。
いつも、不安と隣り合わせな感覚。学生の時にはなかったものが、あたしを焦らせる。
「隼人は、今は?」
知りたい気持ちを抑え切れずに、そう口にした。
「大学行ってるよ。・・・お前に話してた、第一志望んとこに今は通ってる。」
「わ、おめでとう!」
自分のことのように嬉しくて、思わず声をあげた。
どれだけあの学校に行きたがってたのか、あたしは知っている。
「なんか照れるな。ありがと。」
隼人は鼻に手をやって、少し控えめに笑った。
照れてる時の癖だ。
今も変わっていないその癖が、不思議な錯覚にあたしを陥らせる。
「・・・そっか、大変だったんだな。」
頭に感じる、僅かな温かさ。それは、久しぶりに感じた隼人の手の温もりだった。
思わず、顔を上げる。
そこには、いつかと変わらない隼人の微笑みがあった。
「・・・あたしのこと、いい加減とか、思わないの?」
「馬鹿にすんなよ。お前のこと、これでもきちんと見てたんだから。」
隼人の力強い返事に、泣きそうになった。
ちゃんと、わかってくれてる。
少しだけ、4年間の距離が埋まったようで我慢出来ずに笑みをこぼした。
隼人はそれに答えるように笑って、手を放した。
「今は、仕事してるのか?」
「うん。飲食店で。」
「そっか。・・・どんどん先に進むな。」
寂しそうに笑う隼人に、あたしは少し首を傾げた。
「そんなことないよ。」
先に進んでる、なんて、そんな気はしない。むしろ、後退したようにも感じる。
いつも、不安と隣り合わせな感覚。学生の時にはなかったものが、あたしを焦らせる。
「隼人は、今は?」
知りたい気持ちを抑え切れずに、そう口にした。
「大学行ってるよ。・・・お前に話してた、第一志望んとこに今は通ってる。」
「わ、おめでとう!」
自分のことのように嬉しくて、思わず声をあげた。
どれだけあの学校に行きたがってたのか、あたしは知っている。
「なんか照れるな。ありがと。」
隼人は鼻に手をやって、少し控えめに笑った。
照れてる時の癖だ。
今も変わっていないその癖が、不思議な錯覚にあたしを陥らせる。