(短編)フォンダンショコラ
若気の至り、なんて言葉がある。
まさに、あの時のあたしには、それがピッタリだと思った。
ちゃんと隼人が好きだったのに。その気持ちさえ、自覚できなくなるくらい、彼に溺れてたのに。
それを不安と勘違いして、自ら迷路に迷い込んで、勝手に決めたゴール。
苦しみから逃れたかったがためだけに、愛しい人を突き放したあたしに、幸せになる権利なんか、ない。
彼を忘れられないと歎く権利なんか、ない。
ましてや、
まだ愛しいだなんて。
そんなのきっと、許されない。