(短編)フォンダンショコラ
かなりビターに作られたショコラの苦さと、バニラアイスの自然な甘さがあたしの口の中で調和する。
「・・・美味しいや。」
あたしがかつて作ったものとは、味も出来栄えも全然違う。プロの作ったものなのだから、そんなこと当たり前だけど、何だかほろ苦い気持ちになった。
「なんかあったか?」
するといきなり、店長がそんなことを聞いてきた。
あたしが目を向けると、店長はふっと笑った。
「最近ずーっと暗い顔してんぞ。」
「あたし・・・そんなに顔に出てますか?」
「まぁ上司の俺がわかるくらいには。」
「・・・すいません・・・。」
接客業をやっている身にも関わらず、表情に出てしまっていたなんて失態だ。
情けなくて、俯いた。
「謝ることはない。あくまでも、俺はわかったってだけ。客にはばれてないし。誰にでもそうゆう時期はある。」
そう言うと、店長はビールをまたグビッと口に運んだ。
「人生の先輩である俺が聞いてやってもいいよ?話したくないようなことでも、あえて誰かに話してみると、意外に答えが見つかったりする。」
生ハムを口に運びながら、
「これ、俺の体験談ね。」
店長はニッと笑った。
そんな店長を見ていたら、何だか話してみたい、という気になって、あたしは初めて、隼人とのことを人に話した。
「なーるほどねぇ・・・。」
順序立てて話すのがうまくないあたしの話を、店長はただ黙ってじっと聞いてくれた。
話し終わった後の彼の第一声は、それだった。
「・・・美味しいや。」
あたしがかつて作ったものとは、味も出来栄えも全然違う。プロの作ったものなのだから、そんなこと当たり前だけど、何だかほろ苦い気持ちになった。
「なんかあったか?」
するといきなり、店長がそんなことを聞いてきた。
あたしが目を向けると、店長はふっと笑った。
「最近ずーっと暗い顔してんぞ。」
「あたし・・・そんなに顔に出てますか?」
「まぁ上司の俺がわかるくらいには。」
「・・・すいません・・・。」
接客業をやっている身にも関わらず、表情に出てしまっていたなんて失態だ。
情けなくて、俯いた。
「謝ることはない。あくまでも、俺はわかったってだけ。客にはばれてないし。誰にでもそうゆう時期はある。」
そう言うと、店長はビールをまたグビッと口に運んだ。
「人生の先輩である俺が聞いてやってもいいよ?話したくないようなことでも、あえて誰かに話してみると、意外に答えが見つかったりする。」
生ハムを口に運びながら、
「これ、俺の体験談ね。」
店長はニッと笑った。
そんな店長を見ていたら、何だか話してみたい、という気になって、あたしは初めて、隼人とのことを人に話した。
「なーるほどねぇ・・・。」
順序立てて話すのがうまくないあたしの話を、店長はただ黙ってじっと聞いてくれた。
話し終わった後の彼の第一声は、それだった。