(短編)フォンダンショコラ
「その言葉の意味が、わかるか?」

「言葉の意味・・・?」

「完全に忘れてるなら、そんなこと言わないだろ。彼にも理由があるんだよ。お前を追っかけたことも、お前にそんなことを言ったことにも、理由がある。」

隼人の行動の理由・・・。

そこまで、考えてなかった。


「それを考えたら、なにすべきかわかるだろ。」


店長はそこで、綺麗さっぱり空になった皿を持って立ち上がった。

「お前の幸せと、彼の幸せは、きっと同じだ。人を好きになるってのは、そういう、奇跡みたいなもんだよ。
どんなに喧嘩しても、どんなに嫌いだって言っても、それでも一緒にいたいって思えるの、すごくないか?」

「・・・はい。」

「前に進みたいなら、なにか行動しないと。もう、闘えるだろ?」

「・・・はい。」


あたしは、強く頷いた。

前に進むために、あたしがすべきこと。それは・・・。


店長は、洗い場に皿を置くと、シフト表を持ち出してきた。ここは社員もアルバイトもシフト制なのだ。


「お前、14日仕事入ってんだっけ?」

「あ、はい。」

いきなり仕事の話へ切り替える店長を不思議に思いながらも、あたしは頷いた。

「で、あ、12日は休みなんだ。」

「はい。」

「ふーん・・・。」

店長は何か考え込みながら、また椅子へ座った。

なんだろう?


「じゃあさ、お前14休んでいいよ。」

「は?」

突然すぎる提案に、あたしは呆気に取られる。


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