(短編)フォンダンショコラ
「は、隼人!?」

なんでここに!?

そう、それは隼人だった。彼は右手をあげて、笑った。

「予約してました、相川です。」

隼人は自分の苗字を告げる。

予約・・?

私は、店の予約に関しては、一切把握していない。そこは店長に任せている。

予約リストをレジの横から引っ張り出す。確かにこの時間帯で、相川と入っていた。

「レストランてここだったの?」

内心焦りながら、私は隼人にそう質問する。

「ああ、一度彩美が働いてるの見たくて。」

隼人は望みが叶ってか、嬉しそうだ。


そこへ、店長がやってきた。


「お待ちしてました、相川様。どうぞこちらへ、ご案内いたします。」

「はい。」


店長は私の顔をチラッと見ると、素晴らしい立ち居振る舞いと営業スマイルで、隼人を店の中へ案内していった。


き、気が付いてるのかな・・?

何だか色んな意味で、汗をかいてしまう。

隼人が案内されるはずのテーブルナンバーを、予約リストで確認した。

するとそこは、このレストランの中ではナンバーワン人気のテーブルだった。
窓際にいつくか置かれた個室のうち、一番見晴らしのいい場所。
テーブルライトから、見晴らしから、ムード作りには最高の場所で、特別な日を迎えるカップルは早くからその場所を指定予約する。


そういえば、今日は誰もあそこへ通していない。


「いい場所取ってやったんだから感謝しろよ。」

するとそこへ店長が戻ってきた。

「て、店長。・・気付いてたんですか?」

きっと店長は確信犯だ。

「ああ、予約した時、彼からお前のこと聞かれてわかった。」

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