【続】俺様甘甘王子様
思い切ってあたしの方から、昨日のことを口に出す。
周りの生徒たちは校門をさっとくぐりぬけていく。そんな中、あたしは立ち止まった。龍もスタスタ歩いていた足を止め、あたしを見る。
『怒ってない……わけがない』
龍は、口をへの字にするような表情になり、腕を組んで、そう言う。そのまま続けて話し続ける龍。
『昨日、広佳に怒りすぎって言われたけど……そりゃあ、自分の彼女が知らない男と2人で一緒にいるのを目にして、しかも夕飯一緒に食べたとか聞いて、冷静保っていられるわけねぇじゃん。問い詰めるに決まってんじゃん』
「……うん」
『……つまり、ヤキモチ』
ものすごい勢いで話してきた龍が、いったん息を落ち着かせて言った言葉は、”ヤキモチ”という言葉だった。
あたしは、その言葉を聞いて下に向けていた顔を上げ、龍の目を見る。
「ヤキモチ……?」
『そっ、ヤキモチ焼くほど、俺は雅が好きってこと、それくらいわかれよな』
「痛っ!!」
龍はそう言うと、あたしのおでこに1発でこピンをかました。そのあと、ニッと歯を出して彼は笑うのだった。
あたしはこの笑顔に、またときめいてしまう。龍と峰崎先生の関係のことで悩んでいたはずなのに、今、目の前にいる龍の笑顔を見れた嬉しさの方が大きくなる。どうやら、あたしは単純らしい。