【続】俺様甘甘王子様



『雅から、水族館でのこと聞いたよね?俺、そのあと雅の家に向かったんだ。そしたら、三田に抱き付いて泣いてる雅見ちゃって……』


――神城君、見てたんだ。


そのときはきっと、雅はとにかく泣きたかったんだと思う。ちょうどそこに、三田君が現れて、甘えたくなったんだと思う。だから、抱き付いて泣いたことに、深い意味というものはなかったと私は思ったが、それを私の口から神城君に言うのは、どうかと思った。だから、私は少し黙ってしまう。


それに、雅が好きなのは――。


「私にもわからない、かな」


私は少し意地悪をしてしまった。心の中ではわかっていた。でも、それを私の口から神城君に言ってしまったら、意味がない。




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