【続】俺様甘甘王子様
「……知りたいの」
『雅……』
――ただの幼馴染みだよ、って龍の口から聞けて、安心したかった。今そのことを聞けて、安心できるはずなのに、あたしの心にはモヤモヤしか残らない。
龍は、ゆっくりとあたしを抱きしめる。そして、また優しく声をかけるのだ。
『聞きたい?』
「うん……でも、怖い」
龍の昔のことを知りたい一方、あたしには、少し怖い思いがあった。だって、知りたいけど、知りたくないことだってあるじゃない。そんなのわがままだってわかってる。けどやっぱり、このまま聞かないでいた方がいいことなのかもしれない。
あたしの頭の中は、いろいろな思考でぐちゃぐちゃだった。
『雅、聞きたいんじゃねぇの?』
「聞きたいけど、今はいい」
『…………本当に?』
「うん、今はこのまま、ぎゅってしたい」