【続】俺様甘甘王子様
『あげる、って言ってるじゃないですか』
彼はまたあたしに笑顔を向けてきた。
「ごめん……」
何だか申し訳なくて、あたしは三田君に謝る。
『先輩自分でごはん作るんですか?ちなみに今日の晩飯はなんです?』
謝っているあたしとは裏腹に、話をすぐに切り替えて微笑んだ三田君はあたしの前を歩き始めるのだった。あたしはその後ろをついて行く。
「うんそうよ、自分で。でもまだ何作るかは決めてないの」
『へぇー先輩料理できるんですね、ちょっと意外』
「意外って何よ!料理はできるけど、ちょっとだけよ」
『ははっ、すいません。じゃあ、ご両親お仕事ですか?』
「……両親は……その……」
三田君に両親のことを聞かれ、あたしは言葉を詰まらせた。両親のことは、あまり言いたくなかったから。
『あ…すいません!俺、何も考えずに』
あたしの表情で察したのか、三田君はすぐに謝ってきた。三田君は、何も悪くないのに。そんな三田君に、あたしは少し作り笑顔を向けてしまう。
「ううん。三田君こそ自分で作るの?男の子がスーパーで買い物なんて珍しいわよね」
『はい、俺の両親共働きでいつも帰りが遅いんです。それに、俺、下に1人妹がいて、俺が飯作って食わせてあげないとなあって……』
「妹さんいるの?」
『はい、今中学1年生の』