シュガーベイビー★キス
「すっかり遅くなったな。」
パークを出た時はすでに9時を回っていた。
「親、心配してない?」
「あぁ…普段から仕事の日は帰るのが遅いので大丈夫です。」
「そっか……とりあえずー…送るわ。」
「そっそんな!大丈夫です!」
「いや…普通の女子ならまだしも、お前芸能人だし。何かあったらヤバいだろ。」
「あ…そっか…。あたし芸能人でした…。」
「でしたって…もっと自覚しろよ。」
「すみません…」
帰りの電車は思ったよりすいていて、座れることが出来た。
ここから30分以上電車に揺られると思ったら眠くなってきちゃったな……
「ふわああ………わ!」
大きなあくびをすると同時に、あたしの右肩がガクッと重くなった。
「………あ…泉サマか…。」
あたしよりも先に泉サマが眠りに落ち、肩に寄りかかっていた。
うらやましいくらいキレイな寝顔だなー……
こんなに詳しく自分の過去を話したのって…
泉サマが初めてだ。
「泉サマ………今日は………ありがとうございました。」
こうしてあたしの人生で初めてのデートは幕を閉じたのだった。