シュガーベイビー★キス
「今度やる例の映画の台本がこの前届いて…クランクインまでに練習しておきたくて…」



「ふーん。別にいいけど、俺はどうしたらいいわけ?」





いいんだ!

思ったよりすんなり承諾してくれてなんだか拍子抜けしてしまう。



「えっと………あたしが恋する相手役をやってほしいんです。ちょっと待って下さいね。」



カバンをゴソゴソとあさり、台本を出す。




「へー。台本ってこんな感じなんだ…教科書みたいだな。」




「あたしは主人公の森本小春で、この中島圭人ってのがあたしの相手役になるんですけど…泉先輩にはこの中島さんのセリフを読んでほしいんです。」



「……何このページ。ほぼ、中島とお前のセリフしかないじゃん。」



「その……ききききキ、キス、する前、と言いますか…キス前のやり取りなので…セリフが多くて…」




「え!?お前キスすんの!?つーか、出来んの!?」




「キス」という言葉にギョッとする泉サマ。




「……仕事なので…やるしかないです。」




「…………大変だな、女優って……わかった。読めばいいのな。」




「はい。お願いします。」




あたしは森本小春…



恋する女子高生……



気持ちを仕事モードに切り替える。



< 200 / 366 >

この作品をシェア

pagetop