シュガーベイビー★キス
「狭いけど適当に座って。」




緊張しているヒマもなく樹くんが台本を読み始めた。しかも、台本見てない!ちゃんと覚えてるじゃん!




わざわざ練習しなくても大丈夫な気がするんだけど…





「先生の部屋キレイ!」





そう思いながらも台本を読む。




「お前の部屋が汚いだけだろ…」



「そんなことないもん!」




たわいもない会話が進む。




確か…このあとは…その……



べ!べべべべべベッドイン的な、流れだったような…




さすがに、そこまではしない、よね?




台本を読んでいくうちに段々と流れが変わっていく。





「俺はお前の担任である前に、ひとりの男だ。」



「うん…」




「お前が好きだ。」





『映画の撮影が終わったら……ちゃんと言うから。』




今さらだけど…あれって…好きってことを言ってくれるって…



ことだよね?




あ…ダメだ…!


また泉サマのこと考えちゃってる!





「あたしも好きだよ、先生。愛してる。」






「………じゃあ、いいってことだよね?」




黙ってうなずく。



これがベッドインOKのサイン、か…。



台本ではここでキス。と書いてあるけど……



恐る恐る顔をあげると樹くんは黙ってあたしの顔を見つめている。



まさか…



しないよね?





「…好きだ。」




………へ?
このあとの台本にはそんなセリフ書いてなかったけど……




「……ごめん、やっぱ我慢できないわ。」



「えっ?」




次の瞬間、あたしは樹くんに押し倒されソファーに仰向けになった。


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