シュガーベイビー★キス
「泉……ねぇ、泉ってば!」
ハルの声が耳に入り、そこでようやく俺は走るのをやめた。
「…………どうしたの?何か変だよ…」
「……わりぃ。」
「何かあった…んだよね?あたしで良かったら話聞くけど…」
うつむく俺の顔をハルが覗き込んだ。
やっぱりハルは可愛いと思う。
とっくの昔に振られてるのに…
「ごめん…何でもない…」
「何でもないって…そんなわけないじゃん!変だよ…泉。最近…なんか変。」
「…そんなことねぇよ。マジで何でもないから…大丈夫。」
俺、バカじゃん。
自暴自棄になって
ヤケになって
ハルを連れ出して
何がしたいんだ。
ハルに背中を向け歩き出す。
「………ひまちゃん!」
その言葉に体が勝手に反応し、ピタリと足が止まった。
「もしかして…ひまちゃんが関係してるの?そうなんでしょ?泉は…ひまちゃんが好きなの?」
それは……………
「あ!ハルー!何してんのー!超探したんだけどーっ!」
ハルのほうに体を向けなおした瞬間、道路の反対側で大きく手を振るハルの友達の姿が見えた。
「…友達と一緒だったんだ。無理矢理連れてきて悪かったな。行けよ。」
「でも………」
「いいから……って俺が連れてきたんだよな…。本当、悪かった…じゃあ。」
「泉……っ!」