シュガーベイビー★キス
「ハル………。俺、ハルのこと好きだよ。だけど……やっぱりハルとはやり直せない。」




「……どうして?ひまちゃんが好きだから!?」




俺は首を横に振った。




「例え、俺がアイツを好きにならなくてもやっぱりお前とはやり直せなかったと思う。」




「………………え?」




「だって…お前が好きなのは奏でしょ。だから俺たちは別れた。奏を好きでいるのが辛いからって俺のところに来るのはお前にとって良くないよ。それは妥協だよ。」





ハルは俺じゃなくて奏を見てた。



だけど今の奏に見えているのは、神戸だけ。



もちろん本気で恋愛感情を抱いてるわけじゃない。



一人前の女優に育てるために、必死に神戸を支えている。



アイツにとって今一番大事なものは神戸で、生きがいも神戸。



恋愛は二の次。




やっぱり奏はムリなんだ…




ハルは奏を神戸に取られたように感じた。



そして近くにいた俺までも神戸を見始めた。



自分の身近にいる人がみんな神戸に取られていく




ハルにはそう感じたのかもしれない。





「ハルはちゃんと奏に好きって、言ったのかよ。」




ハルは黙って首を横に振った。




「好きって思ってるならちゃんと伝えたほうがいい…じゃないと…後悔することになる。諦めるのはそれからでもいいんじゃない?奏のことだから、まずお前が好きだってことに気づいてないし、言わなきゃわかんねーよ。」




ハルに言ってるハズなのに…


自分にも言い聞かせていることに気がついた。


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