シュガーベイビー★キス
「おかえりなさい。」


「ん。」



「え?」



「タオル貸せ。髪の毛拭いてやるから。」



「い、いいですよ!自分で出来ます!」



「いいから。俺がやりたいの。」




手に持っていたタオルを取り上げると、あたしの背後に回って髪の毛を拭き始めた。



わ…やってもらえると案外嬉しいかも。



断っておきながらも結局、喜んでるっていう…






「あのさ………」



「はい?」




「ハルのことだけど……」





思わずドキリ、と胸が鳴った。





「やり直したいって言われた……だけどアイツが本当に好きなのは奏だし、俺も今好きなのはお前だから、ちゃんと断った。」



「は、はあ…」



「…一応報告っつーことで。誤解されたままじゃイヤだし、お前に隠し事したくないから。」




隠し事か…


それならあたしも泉サマにちゃんと言わなきゃいけないことがあるよ。




「あの…先輩。実はあたしも話さなくちゃいけないことがあって……」




「なに。」




「電話があったあの日…本当は…樹くんと一緒にいたんです…!嘘ついてごめんなさい…」




「知ってる。」



「え!?」



「俺、あのとき通りの向こうのコンビニにいたから。」





え……え…え??

ていうことは……




「見てて電話したんですか!?」




「そう。」




「何で言ってくれなかったんですか!」




「いや、お前、あんな堂々と現場見ながら嘘つかれたら行くに行けねーって…ヘコみすぎて。それにあのときは俺たち付き合ってるわけじゃなかったから問い詰めるのもちょっと…西山に突っ込まれたら勝てる自信なかったし。」




「う…ごめんなさい…」




あたしも泉サマに色々悩ませちゃってたんだ…



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