シュガーベイビー★キス
*おいしいバイト?
―――――――――――
ファミレスでたらふくメシを食べたあとは、奏に言われた通り寄り道せず直帰。
金………
金!
金だーっ!
うん…
やっぱ俺ってがめついのかも…。
ほっとけ!
「ただい……ギャッ!」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で玄関のドアをあけた瞬間、俺に何かが覆いかぶさってきた。
なに!?
なにごと!?
襲われた!?
死んだ!?
俺、死んだ!?
「何してんの。」
「…………え?」
聞き覚えのある声に目を開けると、覆いかぶさっていたものがフワリと浮いた。
「おう…不良息子。」
目の前にいたのは、弟の葵。
風呂上がりなのか、サラサラの金髪のうえにはタオルが乗っかっていた。
「誰が不良息子だ。」
中2のクセに髪の毛金色にしてる時点で誰がどー見ても不良息子だろ。
と、心の中で突っ込む。
「ちょっと、おにー。神戸さん置きっぱなしになってるよー。」
神戸…さん?
改めて葵に目を向けると、等身大パネルを抱えている。
「またかよっ!」
等身大パネルは神戸ひまり。
何台目だよ!
覆いかぶさってきたのはどうやら“コイツ”らしい。