イミテイション
そうだ、急いで支度をしないと…
「ホントにごめん…あとちょっとだけ待って!!」
ベッドから出て、クローゼットへ向かおうとしたあたしの手を、彼が掴んだ。
「えっ…?」
「待って、一個提案があるんだけど」
少し動揺しているあたしとは反対に、悪戯っぽい顔をして彼が言った。
「この時間じゃ学校行くのもだるいし、さぼってどっか遊びに行かない?
…まあ、もし嫌でも無理矢理連れてくんだけど」
直人のほうから誘ってくれるなんてめずらしい。
断る理由なんてない。
あたしは少しにやけながら頷いた。