イミテイション
予想どおり、直人が選んだのは甘いラブストーリー。
館内は平日の朝なのででがらがらだ。
他人の恋愛の話なんて…
最初はそう思っていたけど、終盤にもなると、
あたしもこんな風に…
なんて、女の子らしいことを考えてしまっている。
あたしって単純だなぁ…
エンドロールが流れだしたので、直人の方を見ると、目が合い、一瞬ふっと微笑んだかと思うと、不意にキスをされた。
ドキッという音が、彼にも伝わってしまうんじゃないかと思った。
「そろそろ出よっか」
あたしが固まっていると、耳元でそうささやかれた。