イミテイション

「最近ドラマ見てる?」


「すごい新人のバンド見つけたんだぁ」


いつものカフェでいつもの様に、あたしたちはお互いに最近あったことをだらだら話し合っていた。


そんな時、突然あたしのケータイが鳴った。

相手は…



直人だ。


「もしもし」

「今忙しい?」

「いえ、大丈夫ですよ」

サークルの仲間の前では、不自然じゃないように敬語で話す。

「誰かと一緒にいる?」

「はい、今千春といますよ〜。
それよりどうしたんですか?」

「今夜何時でもいいから俺の家来れる?」


昨日も会ったのにまた?

そう言ってからかいたいけど、千春の前だからやめておこう。

「7時くらいなら暇ですよ」

「よかった!
新しく曲作ったから聴いてほしくて…」

「わかりました。
またあとで」


こういう健全なお誘いは久しぶりだ。
最終的にはいつもの展開になるのはわかっているけど、ちょっと嬉しい。

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