イミテイション
「杉本先輩?」
にやにやしながら千春が尋ねてくる。
「うん。曲作ったから聴いてほしいんだって」
「トモって先輩のこと好きでしょ?」
あなたのことは何でもお見通しだと言いたそうな目で見つめられる。
「…うん。でも付き合いたいとは思わないけど」
少し意地を張った。
「素直になったら?
あれだけ何でも出来ちゃったら、誰でも付き合いたいって思うよ」
「だって何がどうなっても付き合える気がしないんだもん」
こんな関係からどうやったら進展するっていうのよ…
「何で?かなり仲よさそうなのに…」
「彼はあたしのこと、そういう対象として見てないんだよね」
「トモには幸せになってほしいんだけどなぁ…」
少し淋しそうに千春がいったので、
「努力だけはしてみるけどね」
と焦って付け足した。