イミテイション
「あぁ、レポートね。
俺も今からやるとこ。
今日午後まで講義無いのに…
お前ってそんなに真面目な奴だった?」
意地悪そうに笑いながらそう言われて無償に腹が立った。
「来たくて早く来てるわけじゃないし」
笑って流したかったけど、今は必死にしかなれない。
そんなあたしを見て、さすがの彼も少し驚いたようだ。
「何かあった…?」
「別に」
困った顔をしたかと思ったら、すぐに幼い笑顔を作り彼が口を開いた。
「じゃあさ、もし今日学校の後暇ならちょっと付き合ってくれない?」
いきなり何を言いだすんだろうと思ったけど、勢いで思わず頷いてしまった。
「よかった。じゃあ6時に駅な」
そう言うと彼は他の机へ移動してしまった。
何がよかったんだろう。
まあ…ただ一つ分かったことは、こんなあたしでも何も言わずに心配してくれるくらいの男友達がいるってことだ。