悲愴と憎悪の人喰い屋敷
「圭くんは私の隣にしましょう!ね?」

「そ、そうだね」

片腕を掴み懇願する高野さんに、嫌とは言えない性格の三浦は困った顔で頷く。
そのまま三浦は俺達に何かを言う前に高野さんから腕を引っ張られ、一番奥の部屋へと入って行った。
ノブに手をかけたまま突っ立っている訳にもいかず、俺も自分の選んだ部屋へと入る。

「うわ〜…」

扉の先には天蓋付きのベッドとゴージャスな家具が並び、海外にでも来たのかと思わせられた。
特に雑誌やテレビでしか見た事のない天蓋付きのベッドは感動で、ここで眠れるのかと思うと子供時代に戻ったかの様に胸が踊る。

「へぇ〜女性の部屋って感じだな」

天井や周囲を見渡しながら樋口が素直な感想を言う。
確かに置いてある小物が花柄でカーテンもレースなので女性の部屋って感じだ。

「樋口の部屋は、どんな感じなんだ?」

「俺の部屋はシンプルって感じだな」

「そっか」

それぞれ部屋の造りが違うとすると三浦の部屋も違うんだろうな。
あの部長は一番豪華な部屋を選んだに違いない。


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