悲愴と憎悪の人喰い屋敷
「僕のためにお風呂を用意してくれているみたいなんですけど、浴室はどこでしょう?見取り図、鞄の中に入れたままで分からなくて…」

濡れた服のままでいるのは、さすがに気持ちが悪くなってきたのか望月が辺りを見渡す。
すると、高野さんが赤ら顔のまま明るく返答した。

「わ、私が案内します!圭くん、望月さんの着替えを宜しくね」

「あ、うん」

女性は目移りが激しいというが、それは男性の好みにも言える事だろうか?
それよりもだ…俺も三浦も別荘に着いたばかりで風呂の場所が分かる筈もない。
高野さんに訊ねようとした俺だったが、三浦が部屋へ戻るので何となく気になり後を追う。
う…やっぱり視線を感じるなぁ。
再び、恐怖が襲ってきて俺は扉を閉めず三浦に聞く。

「なぁ、三浦…」

鞄から服を出している三浦の背中に声をかけると、振り向かずに返事が返る。

「はい?」

「望月と知り合いなのか?」

単刀直入に聞くと、三浦は首を傾げて振り向き逆に聞いてきた。

「どうして、そう思うんです?」

「望月の事を凝視していただろう?だから知り合いなのかなと…」

俺が素直に感じた事を口にすると、三浦は苦笑して首を振る。

「いえ、望月さんとは今日初めてお逢いしました」

それじゃ何でだ?
俺がそう顔に出すと、すぐに答えが返ってきた。

「凄く綺麗な光を纏っているなぁと思ったんです」

「光?」

「人のオーラですよ。人それぞれ色も光り具合も違うんです」

なるほど。
そういえば霊感が極度に強い人は、人の持っているオーラが見えるとかテレビで言っていたな。
特に占い師はオーラの色などで相手を見極めているとか何とか。

「それじゃ、俺のも見えていたりするのか?」

「もちろんです」

服を持って立ち上がり三浦は微笑む。
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