悲愴と憎悪の人喰い屋敷
「あの…北川先輩」

俺がブレスレットを見つめて考え込んでいると、三浦が力のない声で呼ぶ。

「ん?何だ?」

すぐさま顔を上げて聞くと、三浦は前方から目を逸らさずに言った。

「僕達が宿泊する別荘、安く借りられたって本当なんですか?」

「あぁ、結構大きな貸別荘なのに料金が安くてラッキーだったと、部長が言ってたけど…それがどうかしたのか?」

安いので風呂やトイレはあるのかと不安に思ってるのか?
三浦は間を開けた後、静かに言った。

「僕、嫌な予感がするんです。もしかしたら…何かの事件があった場所じゃないかって」

オカルトが嫌いな俺は身体を震わせる。
な、何かの事件って殺人事件の様な血みどろな事件があったとかか?

「僕は霊感が強いんです。だからなのか、悪い予感って結構当たる事が多くて…」

「か、考え過ぎさ。一泊するだけなんだし何か起こったとしても大丈夫だ」

苦手だと知られない様に、俺は無理に明るい口調で言う。

「そう…ですよね」

まだ半分納得いかないと言った感じの三浦だったが、静かに頷き息を吐く。
俺は三浦の予想が外れますようにと心底祈り、別荘へと続く道をじっと見つめていた。
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