悲愴と憎悪の人喰い屋敷
「じゃ、管理人代理というのも俺達に怪しまれないための嘘だったのか?」

初めて会った時に《退魔師です》と名乗られていたら俺も樋口も唖然とするだろうし、何より皆が不安に駆られて事態が悪化するなんて事にも、成りかねたかもしれない。
しかし、望月は目前にある椅子に腰を下ろし小さく首を振る。

「孫は嘘ですけど代理人というのは本当です。管理人さんは僕の依頼人なんですよ」

あ〜なるほど。
探偵事務所みたいに出張サービスをやっているという訳か。

「依頼の内容は何なんだ?」

ここまで話を聞かされると、凄く怖いが依頼された内容が気になる。
さっきの黒い霧が関係しているなら別荘に泊まっている俺も無関係じゃないし…。
まさか惨殺事件のあった別荘で怨念が渦巻いているから鎮めてくれ!とかいう依頼じゃないよな?
それだけは言われて欲しくない。
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