悲愴と憎悪の人喰い屋敷
「これで解りました?」

「い、一体どういう事なんだ?部屋の扉は開けれるだろ?」

樋口や三浦が扉を普段と何ら変わりなく開けていた様子は何度も目にしている。
信じられないという俺に、望月は決定的な事実を告げた。

「ええ。外に続く窓や扉…以外なら開けれますね」

「なっ…」

衝撃的な真相に俺は驚き立ち尽くす。
つまり、俺以外は開けれないという事か?
いや、でも待てよ?

「そういえば…ここへ来た時、樋口は玄関を開けていたぞ?」

異様な恐怖感に躊躇している俺と三浦を招き入れたのは樋口だ。
俺以外が外への扉や窓が開けれないにしては、望月の話は矛盾している事になる。
やっぱり、さっきのは悪戯だったのか?
バレましたか〜と笑う言動を期待した俺だったが、望月は真顔で言った。

「それは獲物を中に入れるために、屋敷が樋口さんに手助けをしたからでしょう」

「!!」

その望月の一言で俺は血の気が引く。
そして、最も聞きたくない言葉を望月はハッキリと口にした。

「この屋敷は牢獄のようなものなんです。人喰い屋敷と言った方が分かりやすいですね」

人喰い屋敷…。
口に入れた獲物は絶対に逃がさないと言う訳かよ。
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