PURELOVE
「お前、確か去年優勝した…」


「あぁ。今年、お前の学校に準々決勝で負けた△△高校のフォワードだ!」


「やっぱりな。何でこんな所にいるんだよ?」


「試合見に来てんだよ!見れば分かるだろ?」


うん、確かに。って…


「楓君、やっぱ知り合いなの…?」


小声で聞いてみる。


「あぁ。県予選ん時に当たったんだよ。ま、俺達が勝ったけどな!」


楓君はわざとらしく、声を大にしてそう言った。


それに少しカチンときた様子の圭君。


「シュート決めたのお前じゃねぇだろ!」


…何だかお互い顔見知りのくせに、仲は良くないみたい。


「楓君、もう行こ!…圭君、じゃあね!」


そう言って楓君を押して戻ろうとするあたしに、


「またメールするね!」


と小さく囁き、圭君は去っていった。



席に戻るのかと思いきや、そのまま外に出ようとする楓君。


「あれ?試合見なくていいの…?」


「…もう終わった」


「あ、そうなんだ。結果…どうだったの?」


「1‐0で◇◇の勝ち」


「そっか…」


…何だか楓君、怒ってない?


――――――――――――

―――――――――――


結局その後駅でバイバイする時まで、楓君は一言も話してくれなかった。


何でだろう?


あたし、何か怒らせるようなことしたっけ?


う~ん…もしかして応援してたチームが負けちゃったのかな?














楓君のテンションのUPDOWNといい、圭君との偶然の出会いといい、何だか疲れる1日だった。


……あたし、これからどうなるのかな?
< 100 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop