PURELOVE
「おい!」


ため息をついた直後、誰かが後ろで声を上げた。


反射的に後ろを振り向くと、あの男が立っていた。


「……何?」


今このタイミングで一番会いたくなかった男の出現に、自分でも驚くほど声が低くなった。


「お前、いつまでつけてくるつもりだよ?今みっちゃんは俺といるんだから邪魔しないでくれる?」


「……………」


…100%、こいつが正しい。


だから、何も言うことができなかった。


俺が何も言わないと分かると、男は言葉を続けた。


「…お前、みっちゃんが好きなんだろ?」


それなら、ハッキリと答えられる。


「…あぁ、好きだよ!」


「だよな!そうじゃなかったらこんなことしないもんな。」


…言ってることは正しいが、言い方っていうか態度が一々ムカつく。


「何が言いたいんだ?」


「俺は帰りにみっちゃんに気持ちを伝える。だから、もう帰ってくれ。」


……告白。


俺には絶対にできないことを、男はやろうとしている。


俺はメールを送ることさえ、勇気が出ないし、


こうやって水族館に誘うことだってできない。


ましてや、告白なんて夢のまた夢だ。
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