PURELOVE
「もしもし?うん、あたし」


相手が電話に出たらしく、彩花ちゃんが喋り出した。


期待したわけじゃないけど、相手の声は全く聞こえてこない。


「今、大丈夫?」


「…ホント?良かった」


「うん、あのさ?返事決まった?」


…ん?返事?


「何のって、例の男からの告白。」


……ま、まさかっ!


「別に深い意味はないんだけど…美鈴がどう返事するのかな~?って気になっちゃって~」


………やっぱり。


てか、俺の方見ながら電話するなよ!


もしかして…これって、新手の嫌がらせなのか?


俺がそう思って、彩花ちゃんから思わず視線を逸らすと…


「…えッ!!まじで?」


突然、彩花ちゃんが大声を出した。


「うん、うん。…そっか。分かった、ありがと!じゃねッ★」



…立川、一体どんな返事をする気なんだ?


まさか、もうしちゃったのか?


身を乗り出すほどに見つめると、彩花ちゃんは俺をチラッと1回見て小さくため息をついた。



……まさか、告白OKだったのかッ!?


一瞬にして、顔が固く強ばったのが実感できた。


彩花ちゃんは勿体ぶったようにノロい動作で携帯を鞄にしまっている。
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