PURELOVE
「もしもし、立川?いきなりごめんな?今電話大丈夫?」


『…あ、うん!大丈夫だよ』


「あのさ、もうすぐクリスマスじゃん?だから、その日どっか行かねぇ?」


『………えっ?』


「あ…もしかして、もう予定入ってる?」


『……う、ううん!ないよ!何にも』


「そっか…良かった。詳しいことは、また連絡するから。」


『…うん!』


「じゃあ、またな。」


『うん、バイバイ』


電話を切った後も少しの間その余韻に浸った。


初めて立川に電話した時は、スゲー緊張したし、沈黙ばっかだった気がする。


だけど今は、声を聞いただけなのに何故か安心したし、心が温かくなった。


…人を好きになるって、こういうことなのか?


心が穏やかになったり、優しくなれたり…


サッカーは今でももちろん好きだけど、こんな気持ちにはならない。


…人を好きになるっていうのも、全然悪くねぇな。


「楓~!ご飯よ~」


1階から母親の声がして。


俺は穏やかな気持ちのまま、ゆっくり下に降りていった。
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