PURELOVE
「あんた達、ホントに付き合ってるの?」


睨み効果なんて全くなく、冷めた目で彩花はあたしを見た。


「え?何で?」


ビックリして見つめると、彩花はあたしの手にある携帯を指差した。


その動作に、急いでメールBOXを開く。


――――――――――――――――――
よっ!今日学校どうだった?
俺は、一輝にクリスマスのこと聞かれて超大変だった!
立川もきっと彩花ちゃんに問い詰められてそうだな!(笑)
          from 楓
――――――――――――――――――


??????


「…何がいけないの?普通のメールじゃん」


「じゃあ、最後の文声に出して読んでみて」


「…?立川もきっと彩花ちゃんに問い詰められてそうだな…だよ?」


「ハァ~。まだ分からないの?あんた達付き合ってるのに、あたしのことは下の名前で呼んでおいて、彼女である美鈴のことは名字で呼んでるじゃない?それでいいの?美鈴は」


「………そう言われてみればそうだね…でも!きっと前からそう呼んでたから…」


「美鈴、ショックじゃないの?一度言ってみなさいよ!ちゃんと言葉にしなきゃ、気持ちなんて伝わらないわよ!楓君だから分かってくれるなんて思ってても全くの無駄!分かった?」


何でこう彩花は、あたしの考えてること分かっちゃうかな…


ショックじゃないわけないよ…


言われなきゃ気付かなかったけど、一度でいいから“美鈴”って呼ばれてみたいかも…。


「うん!頑張ってみる!」


そう言って話は終わり、あたし達はファミレスを後にした。


でも、何て言えばいいの?


名前で呼んでなんて、面と向かって言えるわけないし…


その後、夕飯を食べてる時やお風呂に入ってる時でさえ、何かいい方法がないか考えたけど…


結局実践できるような名案は浮かばないまま、眠りについた。
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