PURELOVE
「じゃあ、行ってきまぁ~す」


やっとのことで、ママとパパから逃れられたあたし達。


「ごめんね?あんな両親で…」


「…何で謝んの?ちょっと圧倒されたけど、楽しい家族じゃん?」


「…そうかな?パパ、変なこと言わなかった?」


「…………」


いきなり黙り込んだ楓君。


「…やっぱ何か言ったんだ…」


「やっ、そうじゃなくて!…もう少し経ったら分かるから!」


ちょっと横を向いて、ぶっきらぼうにそう答えた。


もう少し経ったら分かる…?


???????


余計あたしの頭の上に、ハテナマークが増えた。


数分後。


人でごった返しのお寺に到着した。


人の川って言う表現がピッタリで、あたし達は一瞬時が止まったように入口で静止した。


この中に入るの…?


あたしは、久しぶりに体が強ばるのを感じた。


だって、体が触れるぐらいの近距離で沢山の男の人とすれ違うんだよ?


「……この中、行ける?」


そんな気持ちが伝わったかのようなタイミングで、楓君がこっちを向いた。


その目には気のせいか、あたしを気遣う優しさとここに連れてきてしまった後悔の色が見て取れる。


久しぶりのデートなんだから、今日ぐらい心配かけたくない。
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