PURELOVE
「…え?ちょっと離して下さい!」


そう叫ぼうとしたのに、口を塞がれた。


相手の舌が無理矢理あたしの口に入ってくる。


怖くて背筋がゾクッとした。


声を出そうにも出せず、抵抗しても全く歯が立たない。


初めてのキスを奪われたことと過去のいじめを思いだして、唇が離れても声を出すことができなくなったあたし。


それをいいことに、高校生は服を捲り上げ、下にも手を出そうとする。


「…や、やぁ!」


やっとのことで声が出て必死で抵抗しようとしても、やっぱり高校生はビクともしなくて。


あたしは襲われている状況の中、“大人”の男というのを知った。


それでも必死に逃げようと抵抗した。


「お前!何やってるんだ!!」


そんな声と共に、警官が懐中電灯片手にやってきた。


後からOLらしき女の人も見える。


高校生は、


「やべぇ」


とか何とか呟きながら、反対の方向に逃げていった。


警官が高校生を追い、女の人があたしの所に来てくれた。


自分の着ていた上着をあたしにかけながら、


「もう大丈夫よ」


そう優しく言ってくれた。


その途端、ショックが大きすぎて出なかった涙が一気に流れ出した。
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